細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

エッセイ・対談・自伝・評論

新編 算私語録

安野光雅の絵本でなくてエッセイです。数字と不思議に満ちています。頭の片隅がこんがらかってにやりとします。

全日本 食の方言地図

日経新聞土曜版の連載らしい、いまは載ってないのが残念なところ。カツ丼とか(新潟の醤油だしカツ丼は美味しい)肉と言えば(うちは一応肉=牛。でも他人丼を牛ではやらないよ)とか冷やし中華とかそれにマヨネーズとか(違和感ない)♪ 何よりの収穫は「東…

台湾紀行

相方さんちに鎮座して、狙っていました街道をゆく。大変しみじみよい本でしたが、行きたくなるというのとは微妙に違う。土地の話、歴史の話もさりながら、やはり人の話だからこそ。矢も盾もたまらず台湾に飛び、道を、ひとを探して号泣した、その人の話に心…

生きながら火に焼かれて

婚前交渉を持ち、妊娠したために、親族から焼き殺されかけた女性の自伝。もうそれ以上に言えることない。 それが「読めて」しまう現実感のなさ、だけどどこか、いやそこにある現実。 その後も語られているのが救いでもあり、でもその後がなかった少女たちもそ…

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職場で引退された大先輩の追悼文集をいただきました。何ができるのかを考えて何ができているかにへこむしかない。権限ではなくて義務と思え、それだけメモしとこ。

小径からみた青空

とあるサークル有志がまとめた児童文学エッセイの集まり。ハリポタ嫌いも含めて(ちゃんと好き派もおられますよ)、等身大が楽しい。 結構ファンタジーに傾くんだけど、一番楽しかったのは青い鳥文庫の主流の話。今まで児童文学とミステリなんてちっとも繋げ…

「日本国憲法」を読み直す

井上ひさし&樋口陽一。作家と憲法学者が憲法を語る。こんすてぃちゅーしょんは日常の言葉といわれればそうかもだけど、日常生活で「構造」とかって言ったからって国の憲法を思うかなあ不可分かなあ。吉里吉里人を読んでみるかな、私たちは選んで日本人かな…

夜の言葉

アーシュラ・K,ル=グィン。Uから始まるこの名前が女性名だということを、私たちは意識しなくても「小説」を読めるけれども、作者にとっては「イニシャルで」と出版元から求められるなんてことは、とても重大なことだ…後になって何時までも疼く傷だと気付く…

世阿弥

白洲正子。この間白洲次郎のドラマを見たせいだっていうのは明らかだけどまあそれもいいよね。でもここに出てくる白洲正子はモダンガールよりもむしろやっぱり品のいいお嬢様かしら。とはいえ突き放す&断言する気の強さも芯の強さも文章に溢れておりますが…

女子の本懐

小池百合子の市ヶ谷55日。いまとなっては(いま9月29日)何となくものがなしくもあるけれど、読んだのはまだ8月中、この本自体は面白かった。 大臣の、政治と行政の二足のわらじの微妙な感じ、アラビア語が堪能ってことも知らなかったなあ。辞任理由はどう…

モォツアルト・無常という事 / モォツアルト

小林秀雄。ちゃんと一冊読むのって初めてかもしれない。ってこれは2冊分まとめて書いてますが(苦笑)。代表的エッセイの集合体の前者は新潮文庫で、音楽関係エッセイを集めた後者が筑摩文庫。図書館でどっちを借りようか悩んで両方借りてきました。 音楽に…

畑の向こうのヴェネツィア

仙北谷茅戸、イタリアで日本語を教えて夫と一姫二太郎の子どもたちと暮らす日々のエッセイ。装丁もお名前も(!)文章の雰囲気も題材も、そしてその日々の暮らしも、異国の霧の中なのにすごくなじみやすさを感じて引かれて幸せ。エッセイがかなりはっきりと…

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

いかにもなタイトルだなあと思いつつ、時に少し雑かなとも思いつつ楽しく読んでいた日本語&字幕エッセイ。だけど指輪物語の話でつまずいて、私としてはそれ以上支持はできない、この私の心の狭さ。それは字幕屋さんからみればそういうお気持ちになるのだろ…

韓国の食

黄 慧性、石毛 直道。対談というか聞き書きで目の前に広がる韓国の食。おいしそうでそしてそれよりおもしろそう、好奇心がそそられる奥深さです。食卓は報告書、らしいですよ!それも分かるなあ。15年前の本ですが、今でも全然問題なしにおいしそう、そりゃ…

ご冗談でしょう、ファインマンさん 上・下

エッセイといいますか回想録?しかしものすごくエンターテイメントでした。物理学者ファインマンさんの、愉快な日々。考えることが好き、人を煙に巻くのが好き、女性が好き、人生賛歌かな。やだな、こんな面白さのかけらもない感想^^;。とにかく、(ちょっと…

ハワイイ紀行(完全版)

池澤夏樹♪案外まだ読んでないのあるんだな〜、ということも嬉しいです。文庫では最後の2章が書き下ろしのようでそれで”完全版”ってことなのかな?天文台銀座とか全然知らなかったし人間が発熱体ってそれはそうなんだけどそういう些細な表現とか、好きで、そ…

私たちは長崎にいた

永井隆編著。もちろん長崎の、そう原爆の体験記であるのですが、あの日から5年、ここに語られているのはあの日から生まれた人と人との間のひび。それは声高に語られているのではない、人は我が身を思い返すのですが、我が身との間の、人との間の、ひび。痛…

ホントに、この人と結婚していいの?

図書館でついつい立ち読み、読書記載せたくないから途中で読み止めようかと思いもしたけどさすがにそれもあざといかなあ、の人生論?。ともかく、誰しもけんかはするものだ、ということで。ま、いいか、と回避するべし。→ Amazon.co.jp

鴎外 闘う家長

山崎正和!確かにこの間鴎外記念館に行って、いったいあの家族への手紙の溺愛ぶりはなんなんだろうと思いはしたんですよね。すこし無理をして家長たらんとし、最後の方、長男から紹介されるエピソードはひどく痛々しい。鴎外は父親の存命中から家長となって…

「論語」の話

吉川幸次郎先生。2008年の一刷ですよ。もちろん中身は古くって、1966年のNHKラジオ放送。でも全然古くないよ〜。 いくつかの節を(詩的に)美しいと記す(じゃない、語る)語りぶりが大好きで、そしてこの本一番の収穫は、君君たらずとも臣臣たれの出典で…

告白 下

通勤時間が飛躍的に増加したため読書量も増えました。ついでに言うと昔お友達に通勤電車でファンタジーは、と申し上げたことを後悔していたり。通勤電車の中でなければなおいいのだけど、通勤電車の中でも読めればそれ以上のことは。 と、閑話休題、告白です…

約束された場所で

村上春樹、underground2。アンダーグラウンドがそうであったように、インタビュー集です。こちらは、オウム真理教に身を置いていた人、また、身を置いている人。ああ、わかるかも、と私も思う、そんな人たち。オウムにいいところ、人をひきつけるところがあ…

大正時代の身の上相談

カタログハウス編。大正時代の読売新聞の人生相談ピックアップ、現代のコメントもあり。お借りして行きのフェリーの中で一気に読了、とても面白かったです。まずは恐るべしはその処女信仰、妻が処女でなかったという相談の、何と本人の深刻なことか。もうひ…

クレヨンハウス物語

1992年版。落合恵子さんってあまり好きでない印象だったんだけれど、すこし印象変わりました。理由もなく好きでなかったわけでもないけど、でも十分に知らないで好きでないのはよくないよね(苦笑)。 >三十一歳、十二月五日のことでした。 ・・・すごい、…

ゲドを読む。

本じゃないだろ〜って突っ込みがありそうですが。いわく「文庫本のかたちのフリーペーパー」。配布開始から半月以上が経過したこの時期に、まだ本屋さんに置いてあるとは思いませんでした。・・・配布本屋はチェックしてたし配布日も押さえてたんだけど、配…

池澤夏樹の旅地図

新刊入荷が市報に出てたので、いそいそと。でもごめんなさい、延長手続はしたけど1か月借りていました。何かいろいろ入ってました^_^;。過去作品一覧・紹介文付とか、お勧め旅本・音楽・映画とか、でもちろんエッセイ、それから写真。話は沖縄と、帯広と、ギ…

南鳥島特別航路

旅行記。池澤夏樹。うちの図書館の池澤さんは読破したと思ったのにまだ残ってた^_^;。 南鳥島だけじゃない、すこしめずらしいところどころへ行く旅の記。池澤さんらしく?かなり自然科学。表題は社会科学(「気象観測」を自然への接点ととるか人らしい人の営…

リラの僧院

中野孝次。旅行記、というか旅行先で考えたことの記。いまの日本に疲れた、いかにも少し前の知識人のエッセイというと偏見に満ちているみたいだな、好きなんだけど。アイルランドの道路、車のための道でない、牛のための道のありようの描写が、確かで鮮やか…

異国の客

池澤夏樹。ほとんどはたぶんネットで読んでいたのだけれど、やっぱり本の手触りはいい。フランス語の素養って元からあったのだと思うのだけれど、・・・そうでもないのか? 異国に客としてあり、母国が手の平を返したような事態にうろたえる、ええ、この国内…

囲碁 (日本の名随筆 別巻1)

中野孝次編。編者のあとがきにもありますように、3種の書き物が入っています。ひとつは物書きが碁を打つ話。もひとつは物書きが碁打ちを語るもの。もひとつは碁打ちが碁を語る。3番めが断然読みやすくって面白いです、二番目もいいのですが。ひとつ目は結…