細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

夜の言葉

アーシュラ・K,ル=グィン。Uから始まるこの名前が女性名だということを、私たちは意識しなくても「小説」を読めるけれども、作者にとっては「イニシャルで」と出版元から求められるなんてことは、とても重大なことだ…後になって何時までも疼く傷だと気付くほど。
底流にユーモアを湛えつつ、そのときはそこまで思わなかった、その率直な書きようが後々の悔いを示していて、けれども、そこまでのことかなと思う私もここにいる。
その是非はともかくそれも含めて書かれてる、忘れちゃいけないことがひとつ。深く考えずに何にでも甘い評価を下すのは、自分と世界を細らせる。ファンタジーも、SFも然り。
ファンタジーはくだらなくないけれど、くだらないファンタジーは存在する。読者には責任がある、そうル=グィンは明言する。SFとファンタジー、書くこと、そして読むことへの愛が真剣に歯切れよい言葉になってて。フェミニストなのはきっとその帰結で、彼女がそれにこだわっているのも、書くことを愛する帰結。
そんなこと知らなくたってゲドは読めるんだけどね!実は4巻を読んだかどうか定かでなくて、1巻から読みたくてならなくなったのでした。