細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

小説/大人と未来のおとなに

謎解きはディナーのあとで

病院図書館で見かけて暇つぶしに。東川篤哉。 さらっと読み始めて、し、しまった、と。 これは本当に、純然たる混じり気なしの(まったくなしではなくてもほぼなしの)ミステリなのね。ミステリとしてはとてもいいもの(だと思うの)ですが、自分が小説好き…

鏡面堂の殺人

結構お久しぶりの周木律。今回も荒唐無稽な(褒めてるつもり)トリック楽しみました。終盤に差し掛かっているようで、まあ「みんなでいつまでもしあわせにくらしました」ってな作品ではないのでしょうけれども、百合子ちゃんには(できれば神にも)穏やかな…

弥栄の烏

最後の1冊だけちょっと時期が開きました。阿部智里の八咫烏。 玉依姫をさらに裏から、おおこう繋がるのかという語りの妙。思えば遠くに来たもんだ。 雪哉の対応はそう来ちゃうのか、と少々もやっておりますが、世界を6冊できっちり閉じたお手並みに敬意を表…

カトク

カトク読みました!よく出来てる、と率直に思います。ディーセントワークガーディアンに比べるとほっこり度が薄い気はしますが、カトクだからシビアにならざるを得ないですかね。 ラストはやはり悩ましい。労働者が経営者的感情を持つこと、経営者を敬慕する…

キャロリング

有川浩。出張のお供に駅ナカ購入。梅雨だというのにクリスマス本。 愛されている子供ほど、親を傷つける力がある。傷つけられたら傷つけたくなる。 だから子供に、というのではなく大人に、間違えないでと願うものがたり。

烏に単は似合わない/烏は主を選ばない/黄金の烏/空棺の烏/玉依姫

一気に読んだので一気に。阿部智里。 転勤になって職場近くに本屋があるようになり、これまで通販で買ってた本を探しに立ち寄り。お目当ての本がなく、くやしくて?買ったのがこれ。JRの車内広告で気になってはいたんだけれどいまさらかなあと思っていたのを…

きみのためのバラ

池澤夏樹。(ほぼ)男と女の邂逅と離別の短編集。どこかの都会やヘルシンキ、沖縄メキシコなどなど舞台も様々、空気の温度と湿度が語りを読み手の皮膚のすぐ外にまとわりつかせます。邂逅から離別までの間、現実から少しだけずれた世界にいるような奇妙な感…

変身/掟の前で

いままで読んだことのなかったフランツ・カフカ。あまりにも有名な「変身」。こんな話だったのか、という驚きにひたっています。 高校の国語の先生に安部公房について熱く語られた記憶が私の読書の半分のバックボーンになっていて(自分がわからない、心地よ…

災厄・暴動・アールダーの方舟

周木律。ネットでまとめ買いをしてがつがつと(笑)読了。どきどきする小説に飢えていたなぁ。 感想を書くとネタバレになってしまいそうなんですが、災厄のアイディアはすごいと思った(どきどきw)。政治家さんたちの扱いは様式美かな(^^ゞ。暴動は産業災…

営繕かるかや怪異譚

小野不由美の短編6話。小野不由美にしては怖くない、はず。いやそれでも怖いとこちょいちょいありましたけどね、どの話にも。それを書くとネタバレまでいかなくても興を削ぐ>_ 最後まで追い詰める話はありませんが、中でも6話めの救いがささやかにも力強い。…

舟を編む

一回書いてアップもしたのに消しちゃったよ(涙)。 三浦しおんの話題作…っていつの話題やねん!と自分に突っ込みますが文庫化なので購入、読了。もちろんお仕事小説なのですが、なんだろうこのほんわかぶりは。 同僚西岡さんもいい味出してますが、主人公ま…

書店ガール

書店員ふたりのどろどろandお仕事小説。どろどろ部分が結構どろどろでキツいけど、まあでもわかる(笑)。間の悪い、そう思えば実はそれほどどろどろでもないのかな?でも、うまくいかない人間関係って結局そんなもんだよね。 後半の前向きさは一転ご都合主…

五覚堂の殺人/伽藍堂の殺人

事情により追っ掛けてる作家、周木律。というものの、すでに4作目まで出てると知らなかった、追っ掛け失格ですな。 ずっとシリーズは数学と建築を鍵にしていて、縛りの中での突拍子のなさが楽しい。ネタを作る方はそれどころではないんだろうけど〜。 いや…

下町ロケット

池井戸潤。職場で出身地の話になったので、それで文庫本を思わず購入。池井戸潤は加茂高校出身なんですねー。 企業小説ですが、大企業との競り合いもさることながら、その結果の企業内のドロドロが頷かされます。誰も思いは間違ってはいないのですが、いろい…

旅猫リポート

私は猫好きに分類されない類の人間なので(嫌いではなくむしろ好きではあるが、猫好きの方の猫ずきっぷりときたら到底私ごときが足元に及ぶものではない)、実はすこし敬遠していてちょっと手を付けていなかった有川浩でありますが、読みだせばやっぱり有川…

ヒア・カムズ・ザ・サン

有川浩、大人の、親との葛藤の物語。なんかいいようにもてあそばれてるなぁと思いつつ、泣きました、parallel。ひとつめの方が物語としてはより好きだと思うのに、泣くとか笑うとかはそれとはまた別の次元でそれはそれでいい♪ 私はものすごく、「てっとりば…

ピスタチオ

梨木香歩。不思議に何時の間にか取り囲まれ、そして飛んで場を移す。不思議がちょうど読んだときの自分の体調と同じように重なって、作中の彼女より軽くはあるけどその符号にくらりとする、そしてその先の不思議に頷くまでもなく流れて進む。 不思議なだけの…

双孔堂の殺人 Double Torus

知ってる人が書いたらしい2作目、前回と同じ人物を違うように動かす、何だか安心して読めて良かった。種明かしも快感だったし、最後の謎は待て次号、って感じですか。 薀蓄に煙に巻かれる感覚は、私は好きですw

マドンナ・ヴェルデ

ジーン・ワルツを読んだのはいつだったか、海堂尊。不妊治療まっさかりの身からするといろいろああ、と思うことしきり。ジーンワルツを読んだときはそうは思わなかったと思うので、ううむ思えば遠くに来たもんだ(笑)。

丕緒の鳥

丕緒の鳥、落照の獄、青条の蘭、 風信 。 表題作だけ一読しているのでやはり残りの3つでいちばん私が揺れたのは青条の蘭、ひとと語りたくなるのは落照の獄。 ネタばれが怖いので、続きは下に。 抱えこんで抱えこんで懸命になって、そしてどうにもならないと…

眼球堂の殺人〜The Book〜

館ミステリ?ちょっときっかけがあって本屋3軒回ってようやく入手、そしてその晩あっという間に読了、最後の最後まで面白かった♪ ・・・何度も言いますがミステリはどっちかっていうと苦手なんです、小野不由美は特別です、って実はそうでもないのか私。綾…

県庁おもてなし課

有川浩。虚実入り混じる、いやフィクションですが、それでも、と思っちゃう、そして●●さん可愛すぎ(笑) ←やってはいけないネタバレのような気がしたので伏せました。誰もが、いろいろあることの愛おしさ。「働く」の題材は、でも働くだけじゃなくってそれ…

光の指で触れよ

池澤夏樹。途中から新聞紙面でも読んでいたんだけど、なんでどーしてこうなってるの?って状態だったので、最初から読み直せて何より。っていうか、引っ越し後初の図書館で初めて借りた本でございます♪ なんでどーしてこうなってるの、は、筋はわかったけど…

フリーター、家を買う

ふたたび引きずる有川浩、衝動買いを許す文庫はありがたい。こちらの方が穏やかな読後感、中身はそうでもない気がするけどでも。 主人公や父親の物語はもちろんだけど、感想で気になるのは姉君で。文庫には、重松清の解説がある、そこでいろんな人物に焦点当…

植物図鑑

有川浩は好き過ぎる・・・。これはまた、すごくむず痒いくらいまっとうな。いやいつも真っ当だけどさ、うわ、もう。 べた甘もいつもむず痒いんだけど、起きて食べて片付けて、の真っ当がもう。夢に見るような落ちてたいい男、すごく真っ当なでもダメダメな、…

空飛ぶ広報室

有川浩。久しぶりに?真っ向から、テーマそのものが自衛隊。ラブコメのただの舞台じゃなくて。いや過去のがただの舞台だったというわけじゃないけど、それでもなお。 ちょうどルポ労働と戦争を読んだときだったので、かな?いちばん印象に残ったのは「専守防…

神様がくれた指

佐藤多佳子、これは一瞬の風になれより少し前の作品ですね。主人公は職業的なスリの青年、物語の面白さにとぷんと浸かれる作品です。

カラマーゾフの兄弟 上・中・下

原卓也訳、新潮文庫。つまり新しいのじゃない方の訳。本屋さんで3冊揃って並んでて、いまなら読めるかもというか買わなきゃ読めないというか、とにかく呼ばれたのでした。 1月近くかかりましたが、無事読了。ちゃんと面白かったです、最初に目の前の話が何…

陰陽師

夢枕獏。コミックの絵が頭の中で動くのは否めない(笑)。読みやすくて楽しい。博雅は文章の方が線が太いかもしれない。 イメージがあるから余計に読みやすいんですよね。どちらも読めるのは幸せです。

鬼談百景

小野不由美のこちらは短編怪談です。怖いのも怖くないのも長めのも(4p)短いのも(1p)、私は長編に比べて短編への感受性は鈍いので、残穢よりは構えずに読んだのですが、怖いものは怖い(>_ どういう契機で書かれたか(ネタは何か)は、残穢を読みまし…