細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

社会&人文科学

働く。なぜ?

新日鉄で長く人事を担当された中澤二朗氏の仕事論。これぞメンバーシップ!って感じですが、しかしやはり教えられます。毎日の仕事の中に(その向こうに)何を見るか。キャリアを進んできたはずの、進んでいなければならないはずの位置にもう自分はいて、ち…

若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

hamachan先生の新書3つ目、1つ目は政策論、2つ目は歴史論ときてこれは教育と労働との接続。そしてその点ではなかなかに海外比較、というか日本以外と違う日本の特質。ジョブ型の海外と比べれば、メンバーシップ型のわが国は(現在においてもなお)技能のない…

14歳からわかる生活保護

学校で教わらないことなんていくらもあるけど、これもそれ。生活保護という制度があると授業で聞いても、それをどう使うかなんて、教えてはくれない。 これは権利であり、武器であり、一時的に使い得るステップであり、モラルハザードが起こってはまずいもの…

労働審判制度の利用調査

最近あまりこの手の本を読み切っていなくて、何となくジュンク堂をふらふらしているときに買った本。およそ1月で無事に読みきれたのは何より!アンケートって面白いよね。 東大社会科学研究所が裁判所の協力を得て行った労働審判利用者に対するアンケートと…

日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?

今野晴貴。実は権利とは、民主主義とは、という話。中間団体というものの価値。 権利は主張しないと現実にならない。それはほんとうで、そしてみんな何を行使するか選んでいる。役所は、NGOは、道具にはなるけどただそれだけ。ところで監督官って、そんなに…

学力と階層

苅谷剛彦。階層が学力を規定する、学力を、というか学力を得るための努力の仕方、勉強の楽しみ方、それは家庭の在り方に大きく影響されて、そして結果に影響する。機会の平等とは、いうほど簡単なことじゃない、そういう話。 それだけだったら薄々わかってる…

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪

POSSE今野代表の話題の文春新書。え、遅い? 抑制が、社名をすべて伏せたところに滲んでしかし、熱いです。争うことを自分以外のための手段だと訴える、筆者がそう思っているのと同時にそれはツボを突いている、そしてそれを知っている、巧みだなあと思わさ…

ルポ労働と戦争ーこの国のいまと未来

島本慈子、ルポ解雇の人ですね。丁度同じ時期に有川浩の空飛ぶ広報室を読んでいたので、ギャップというかスタンスというか、いや同じこと言ってるようでもあって、いろいろクラクラ。 労働と戦争の関わりを、基地労働者とかに問うのかなあ。でも自衛隊員には…

法と経済で読み解く雇用の世界

大内伸哉、川口大司。作りは労働法で、中身は経済かなあという感じ。それは私が法律の方に寄っているから思うのかもしれませんが。労働法の胆は目の前のフィクションでなく困っている誰かと、過去にたくさんいた困っていた人々で。前者はストーリーの設定や…

職人

永六輔。職人語録をさまざまに。お役所は目の敵に?尺貫法にくびを傾げる私も労働基準法を擁護するので、それぞれいろいろあるんだろうな。 庭師は庭木を育てない、そのままにする。そのままにできる。読んで一番の感銘です。

はじめての言語ゲーム

ヴィトゲンシュタイン、読んだことないけど。橋爪大二郎先生の講談社現代新書。わかりやすくて面白かった、ってわかりやすいって言えるほど分かっているのかって問題だけど。 2人4語の言語ゲームはおもしろくそして美しい。言語ゲームはゲームではない。ふる…

生の冒険

キリスト教倫理なるものに触れよう、という契機で読んだのですが、倫理に宗教は関係ないかもって思ってしまった落ちでした。 ダイナミックに?チャレンジングに?そういう大げさな言葉じゃなくてよく生きることはもっと着実なでも冒険で。何というか、それっ…

国語審議会

国語審議会の歴史を語る講談社現代新書。著者の立場がわかりにくくてちょっと読みにくかった。もちろん、立場を全面にだされても読みにくくはなっちゃうわけで、バランスってむつかしい。完全に客観的に読める内容じゃないからな〜。 その分、敬語絡みの後半…

人事部は見ている!

本屋さんで労働関係ふと買い漁り、の一冊。読みやすかった、知ってる話?知らない話? ともかくどこの会社も果ては公務も、たぶん同じ。人事ってそういうものだよなあと頷いて読む。

東洋的な見方

古本屋さんで何となく呼ばれてはじめて読んだ鈴木大拙、家の本棚にはいくつかあったはずだけど。 禅の言葉にならないところを、言葉で明らかにしてくださる短文の山。少しづつ違う話がどれも同じところを指してる、混沌の分かれる間際。臨済録を‥最遊記に惹…

日本の雇用と労働法

濱口桂一郎ことhamachan先生の日経文庫(でも新書(笑))。ジョブ型雇用とメンバーシップ雇用の分析軸から、日本の雇用をめぐる一切のシステムを説明する、というか日本の雇用の歴史からメンバーシップ型雇用の成り立ちを説明するもの。前の岩波新書より歴史…

労働法入門

水町勇一郎先生の岩波新書。淡々と、しかし権利には声を挙げようとそういう熱い本。労働組合というものに対しても、淡々としていながらも熱い。でも、その記述に共感する私と、だからといって行動するわけじゃない私のギャップって何かなー。有休取るくらい…

君は雇用社会を生き延びられるか

センセーショナルなタイトルと斬新な構成ですが、中身はいたって真っ当です。職場で上司がお求めになったので借り。買うかどうかどうしようかなー。 労働法って、いまや賃金でもましてや組合でもないのかな。のかな、って疑問形が空々しいくらいかな。それで…

ドキュメント 屠場

鎌田慧を読むのは実ははじめて?労働者の連帯について読むか、それとも、それより。 組立ラインを見て読んでどきどきするのと同様に、解体ラインを読んでもどきどきです。職業の差別、部落差別の話ももちろん出てきますが、なんだろう、ここで書かれているこ…

ユートピア

岩波文庫で苦にならない厚さのトマス=モア。ユートピアは素直にユートピアを書いた本ではなくて、熱狂とはほど遠い、けれど熱情あふれる思考実験なんだなぁ。 共産主義の失敗を現在の私たちは知っているけど、何が公正な社会、分配、労働なのかを追求する必…

日本人は「やさしい」のか

前に読んだ「日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか」がよかったので、同じ方の一冊、こちらの方が古いですが。 哲学としてはよくわからない、なんだけど、言語史としては文句なしに面白かったです♪JPOPから始めるところも含めて。 やさしは恥ずかしい…

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

さようならは左様なら、そうであるならば、という日本語。これはすごく面白かった、挙げ句にミステリじゃないのにネタばれは回避した方が良さそうな代物。もすこし筆者独自の見解もほしいところでありますが、引用の選択と並べ方がそうだと言われればそうで…

日本の総理大臣

初代から菅さんまでを走って概観、職場の同僚が貸してくれました。仕事的には覚えといた方がいいんだろうけどな〜。読んでるときは面白いんだけど残らないんだよな〜。まあ、いっか、という読み物。

新しい労働社会

濱口桂一郎、官僚にして教授でブロガー、いつもブログに説得されてて「本」くらい説得されずに読んでみよう!・・・と思いつつさくっと読んだ後、そんな感想も書けずにはやもう1年と半分近くが経ちました。 しかしこの読書記は、読んだ本は全部残すんだって…

精神科医を精神分析する

まあ気持ちはわかるんですが(苦笑)、といったところでしょうか。・・・。

働くということ

ロナルド・ドーア。義憤、憐れみ、慈善、そして自己利益―「あなたの不安は私の平和を脅かす」。労働が公正であるべき理由は何か。そして実際にはどうして公正にならないのか。不快な仕事ほど賃金が安く、おもしろい仕事ほど賃金が高くますます高くなる。高い…

ここがおかしい、外国人参政権

どんな本かと手に取ったら、判決文の蛇足ないし傍論はよくない、というそれに尽きる話?でした。賛成、反対それぞれの頭の整理にはなりました。私は統治権の不可分を信じていないので、地方参政権には賛成ですが。 最高裁の傍論に意味があるのは、今度そこを…

2階で子供を走らせるなっ! 近隣トラブルは「感情公害」

ちくま新書。騒音トラブルについての良識と夢があふれる面白くて熱い本。興味深いのはアメリカの公的機関のADR、必ず対面というその調停。個別労働関係紛争に使えないかなあ。調停者の講習、受けてみたいです。 法の力への冷めようもまた。話し合いでトラ…

ぼくらの島根県

図書館の除籍本をもらってきた品。昭和55年だった(笑)。まだ地続きでなかった島があり、もうない町の名前はまだ分かる、銀山はすっかり賑しい。 ようやく大社造りを理解した(おいおい)。密貿易の発覚がなぜ竹島事件なのかも。間宮林蔵って隠密だったの?!…

シュタイナー入門

買う本に迷ったら講談社現代新書。いつも似たようなのしか買ってないなあ…。しかしこれは広く浅く読みやすかった。教育にも思想にも偏らずに農業とかまで万遍なく。そして問いが自分に帰る導入と、瞑想体験を語る後書きが、ただの紹介と違う白眉です。