細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

法と経済で読み解く雇用の世界

大内伸哉川口大司。作りは労働法で、中身は経済かなあという感じ。それは私が法律の方に寄っているから思うのかもしれませんが。労働法の胆は目の前のフィクションでなく困っている誰かと、過去にたくさんいた困っていた人々で。前者はストーリーの設定や注目点でだいぶ違うのだろうけど、残業も眞規子さんで話すか細川さんの奥さんで話すかで。注目までいかなくても書いてあるだけでもバランスいいというべきか。歴史までは盛り込む余地はなかったですかね。
経済の話はやっぱり知らないので面白い。差別的でない企業の女性賃金も下がるとか、予言の自己成就とか。均衡点と効率のいい点は区別すべきとか。
どれも面白いんですけど、根本で頷けないのは経済学の想定が、自分の実感とどうしても合わないところが大きいからなんですよね。成果を求められているけど、労働の投入量を決めているのは私じゃない。労働はある意味オールorナッシングで、自由時間の効用が高いからってすぐには買えない。移動のコストは考えたくないほど高い気がするし、解雇されるかもと思うだけでモチベーションが下がる・・・。人によってその選好は違うのだろうけど。
面白いんだけど半分は冷ややかな目になる自分がいて、逆もまた然りなんだろうな。昼メロ的な、でもあるかもしれないストーリーがかなりいいです(笑)。もっと経済を学ぼうと思いますv