細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

2005-01-01から1年間の記事一覧

数学放浪記

友達の家で一気読み。ユダヤ人にしてハンガリー人にしてフランス国籍保有の亡命者、数学者かつ大道芸人ピーターフランクル先生が、何を経て日本にいるか、とそういう話。時系列順の結構詳しい自伝で、どこかで盛り上がりがあるってわけじゃないんだけど、ど…

物語 オランダ人

文春新書。すっごくけなしてるんだけど、でも嫌ってない、その絶妙な文章のバランス。ぜんっぜん物語ではない、トピックごとのばらばらな記述なのに、でも全体で、オランダ人というそのカテゴリは、やっぱり物語。楽しませていただきました。 → Amazon.co.jp

エンジェル エンジェル エンジェル

週末よく出かける辺りにブックオフができました。ということで梨木香歩。本の価値は、その厚さでも字の大きさでも計れない(当たり前ですが)という一冊。結構重い。天使の話だから、悪魔の話なんですよね。それもそうか。 悪意がもう悪意だかなんだかわから…

ナポリ−バロック都市の興亡

手に取ったとき予想していたより、新しいナポリを扱った本だった。18世紀以降。 ・・・さて、知識はちょっとばかり増えたと思うのだけれど、うーん。基礎知識が足りなかったから読みにくいのだろうけれど、うーん。カンツォーネ(帰れソレントへとかオーソ…

子どもと始める囲碁

安田泰敏九段。これくらいなら分かるv読みやすいvでも私が親と9子置いて碁になるかっていうとあやしい(苦笑)。 でも、碁って楽しい、という本。4歳の子どもでも、認知症の(この本とは関係ないけどお役所は「痴呆症」という言葉をやめたそうだ)お年寄…

Harry Potter and the Prisoner of Azkaban

ハリポタ第3巻。いまさら第3巻?ええ、いまさら。4年越しですよ〜祝読了! 去年までは休暇のたびに1、2章づつしか進んでいなかったのだけど(もっぱら帰省の新幹線の中)、この夏は休暇中と帰ってからとで13章から22章まで進んだvたぶん後半の方が…

からくりからくさ

一度に読みすぎな気もするけど梨木香歩。けれどこれは、私には少し難しかった。すこし寝かせておいてあと三度ほどは読んでみないと。 四人の主人公の心のひだが、どれも美しくそれぞれに共感できるのだけれど、もう一歩私の感じた向こうに何かありそう。染め…

西の魔女が死んだ

言わずと知れた梨木香歩。本当はからくりからくさが欲しかったんだけど、職場近くの本屋さんには置いてなかった。 これはまた、読みやすいというか、どこかで知っているというか、子どものころに(いやいまでも)ひどくあこがれたものと同じ本だ。そして草花…

花を運ぶ妹

池澤夏樹。ずいぶん抱え込んでいたけれど、時間が取れればあっという間。カヲルに導入部で、兄にはじわじわと終盤付近で惹かれていきました。 全編とてもみずみずしい。水が不可欠でときにとても残酷で。救いで、惑わしだったりもする。パリの川、バリの海。…

オランダモデル

ワークシェアリングの話かと思いきや、それはごく一部。オランダ人はばらばらである、もとい、いくつかのグループに分かれている。すべてのグループが同じ考えを持つことはできない、また、その必要もまったくない。妥協できる分だけ合意して、進む。ある人…

りかさん

梨木香歩。客人が帰るのを駅まで見送りに行って、そのまま本屋さんにふらふらと。あっという間に読了、そうそう軽いわけでもない、謎(まだ理解できないこと)も結構ひっぱるのだけれどしかし読みやすい。導入がこれまた上手いのだ、ようこの気持ちもお母さ…

銀朱の花 祝福の歌

金蓮花。最近はめっきり買ってない。立ち読み所要時間30分強(すみません)。銀葉亭出してくれないかな〜と、それはさておき。 えーと、今回のお話は敵役がいま一つ。そのせいでわかりにくいと思う。もっと徹底してしまってよいのではないかと。王子さま役…

彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計

新刊のペース速いなあ。見かけたら買う目下のところ唯一のラノベ。 お話の主題は7冊目になってもどれもこれも変わっていないのです。それが前向きで、いい人がインフレで、よいのです。しかしそれにしても作中で語られる「官吏」と「公務員」を引き比べてし…

裏庭

梨木香歩。美容室に行くのに手持ちの本がなかったから1Fの本屋さんに寄って、さて、何にしようか、と。あ、梨木香歩、それならやっぱり裏庭だろうと。軽い、軽い軽い取り掛かりでした。読み始めるときなんて大体においてそんなものではありますが。 すごか…

これがニーチェだ

で、読んでいた永井均。どこまで読んでも永井均。<子ども>のための哲学に書かれてあった<ぼく>がいまこのぼくであることの不思議が全編に脈打っている。おそるべき<わたし>の肯定。それは道徳を無に帰す。読めば読むほど「<子ども>のための哲学」に…

梅原猛の授業 道徳

「仏教」の方は数年前に読んだんだよなあ、何が書いてあったんだっけ。忘れた、忘れたんだけど読んだ後の気持ちは悪くなかったはずで、そういう忘れたことみんなは私の構成物質になっているはずで。 とはいえ覚えていた方がいいだろう、感想を書いて残すとい…

菜の花郵便局

2つ目のつかこうへい。・・・すいませんこちらは私には理解が及びませんでした。副題が「大人と子供のための童話」とされていますが、子どもにも読めるけど、やはり大人のための、初版の1988年の、大人のための童話かと。安保闘争とか、それは単純に肯…

二代目はクリスチャン

初めてのつかこうへい。まったりとお話が流れていたかと思っていたら、終盤近くの展開はあれよあれよと一気に。どんな感想を書いてもネタばれになりそうなんですが、久しぶりに「お話」の醍醐味を味わわせていただきました。 → Amazon.co.jp

希望格差社会

流行りの本。読むとどれも「知っている」と思うことは、本当は知っていたのではなくて、この人がこう言ったから周知の事実になったのだ。現に感じられている実感に、言葉を与えて認識可能なものとする、社会学者ってすごくてこわい。 読んでもだからどうすれ…

教育と国家

講談社現代新書って、いつの間にあんなポップな装丁になったんだ? 高橋哲哉。・・・って知らなかったけど、靖国問題の著者だ。そういえばそちらも(むしろそちらが)山と平積みになっていた。某超大型書店の平積みの仕方はちょっと引いてしまうほど。本棚1…

マリア様が見てる 薔薇のミルフィーユ

マリ見て最新刊。短編3つ、というか、どれも終わってないよう・・・(涙) 終わってないというのは主観です。もともとしっかりきっぱり続き物だから、おとなしく続きを待ちましょう、ということですね。電車内で読むために、一応買うつもりあったのですが、…

日本の雇用システム その普遍性と強み

小池和男、1994。本の有効期間って、どれくらいなんだろう? これまたやっと読み終わった(今回は1ヶ月くらい抱えてただけだけど、2年くらい前にも一度借りてそのまま返した(-_-;))。 日本の雇用システムは、常識外れの終身雇用でもなければ年功序列でも…

<子ども>のための哲学

永井均。ついでに言えば私が図書館で借りたのはこんな(↓)装丁じゃなーい。いえ、嫌いなわけじゃないですよ、あの装丁。 問いは2つ。「なぜぼくは存在するのか」「なぜ悪いことをしてはいけないか」。2つ目の問いの方がわかりやすい、なじみやすいと思っ…

唐詩新選

陳舜臣。年代別でも人別でもなくて、24のテーマ別。テーマは歳時だけでなくって、唱和(テーマや韻を揃えた詩の贈答)とかとても楽しい。白居易と元しん(※のぎへんに眞)さんがご自宅自慢大会してるのですよv季節では私はやっぱり(?)夏の詩が好きだと…

パートタイム労働の法律政策

やっと読み終わった〜。1997年出版ですが、もはや古典かもしれません。 「私」の収入に税金がかかるのって当たり前じゃなかったんだ、というのがいちばんの驚きかな。世帯単位で課税されると、主たる働き手じゃない方の配偶者の(・・・いいたくないけど…

喪の女王

須賀しのぶ。流血女神伝シリーズ、最新刊。 波乱万丈で、前向きで、このシリーズはいいです。 今回は舞台の転換と前回の事後処理に尽きるようでもありますが、やっぱりどこもかしこも前向きで。笑わせどころもしっかりと。サルベーンへのエドの口上、もう、…

銃姫

読まずにほうっておいた3巻。言葉で魔法を組むのはありがちですが好き。ストレートな恋愛模様の2巻がこれまた好きでしたが、3巻は一人で立つこと、かな?3巻だけではまだ何も終わっていない通過点ですけど。いちばんちゃんと立っていそうに見えた姫が実…

内側から見た富士通 成果主義の崩壊

ええとですね。月に10冊という目標を立てていたわけですよ。それで、到底間に合いそうになかったから、会社に転がっていた軽い本で量を稼ごうと思うわけですよ。・・・成果主義が上手くいかないのももっともですな。いや、質が下がっても絶対量が少ないよ…

マンゴーの木

副題「伝説の魔法使いをめぐる運命の輪」、山田真美。 カテゴリに入れるのが既に限りなくネタばれだ・・・��(〃゜ o ゜〃) このカテゴリが正しいかどうかは内緒。 ともかく虚実皮膜の間を行く、かつエネルギッシュな著者。 とにかく「魔法使い」、ひたすら…

春になったら苺を摘みに

ということでもう一冊の梨木香歩。すばらしいエッセイでした。 理性的な、それでいて表情や風景が澄み切って明らかに伝わってくる文章。 イギリスでの彼女のホストマザーの話を中心にして、梨木さんの人間というものに対する考えが、全編を通して現れます。…