細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

西の魔女が死んだ

言わずと知れた梨木香歩。本当はからくりからくさが欲しかったんだけど、職場近くの本屋さんには置いてなかった。
これはまた、読みやすいというか、どこかで知っているというか、子どものころに(いやいまでも)ひどくあこがれたものと同じ本だ。そして草花の圧倒的な存在感。梨木さんの本にいつもある(まだ4冊目だからおこがましいか)、言葉というものに対する礼儀正しく敏い感覚の叙述。始めから終わりまで様々な視点からの死が、こうして感想を書くために立ち止まるまで特に意識しなかったほど、自然に重ねられる上手さ。そしてこれら甘く正しいものだけで話を進めない上手さ。挙句にすべてが縒りあわされる。テクニシャンだと思う。
さて、銀龍草の写真だけでも探そうかと思っていたら、梨木香歩著『西の魔女が死んだ』の植物アルバムという素晴らしいサイトさまを発見。花を選び、使う梨木さんのすごさを思うと同時に、それを探して展示してくださるサイト主さまのお手数に深く深く感謝。

「渡りの一日」併録。併録であることがすごく幸せな、そんな関係にある2編です。こちらは草花でなく鳥。確かに案外大きな鳥であるサシバの群れ高知県のサイト)。
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