細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

春になったら苺を摘みに

ということでもう一冊の梨木香歩。すばらしいエッセイでした。
理性的な、それでいて表情や風景が澄み切って明らかに伝わってくる文章。
イギリスでの彼女のホストマザーの話を中心にして、梨木さんの人間というものに対する考えが、全編を通して現れます。甘えず自分でドアを開け、自分と「違う」他人を受け入れる。これらは不可分なわけですが、ホストマザーは後者を、梨木さんは前者をより体現しているよう。梨木さんは作中に出てくる湖水地方の清冽な小川そのものです。
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