細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

裏庭

梨木香歩。美容室に行くのに手持ちの本がなかったから1Fの本屋さんに寄って、さて、何にしようか、と。あ、梨木香歩、それならやっぱり裏庭だろうと。軽い、軽い軽い取り掛かりでした。読み始めるときなんて大体においてそんなものではありますが。
すごかった。息がつけないような泣き方で泣かされました。美容室でも危なかった、帰って来て一気に読了、土曜日の午後で本当によかった。
孤独が胸に押し迫ってくる。どうしようもなく誰もが孤独で、それはもう最後まで、そこまでやるかというぐらいに独りで、そして梨木さんがそこまでやるのはそれが真実であるからで。そしてその寂しさの隙に垣間見える愛情。それに読み手の私は救われているのだけれど、それは本当に垣間見で、だから泣かされるのだ。
胸を張って好きとは言えない、けれど読んでよかったとは言い切れる、かけがえのない一冊。
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