細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

アメリカの小学生が学ぶ歴史教科書

大学の英文学の先生が書いたアメリカ史の教科書(小学校1〜6年生用)を編集したものだそうで、左ページに英語、右に日本語。写真もたくさん日本人向けコラムもたくさん、ぎっしり286ページで1500円。日本語しか読みませんでしたが、買って英語も読もうかなあ・・・もう一度借り直せばいいかな(<2週間では私には無理だって)、いややっぱり読まないかな?(笑)。すっきり平易な英語、抑制の利いた綺麗な日本語です(おそらく英語がそうなのでしょうが、そこまでのニュアンスはわかりません)。
さて抑制の効いたこの本は、黒人差別はもとより原爆投下もアメリカ・インディアン迫害ももちろん描いてはおりますが、ちゃんと日系アメリカ人の強制収容もホロコーストとそう変わらない分量で描いてありますが。やっぱり日本人たる私にとって衝撃であったのは、このアメリカ史の全体を通して初めて「日本」が出てくるのは、真珠湾攻撃である、ということでした。一次大戦後、孤立主義者の多かったアメリカ、そこをローズベルトが「民主主義の武器庫」としたアメリカ。自国を武器庫にはしたが戦う体制は整っていなかったアメリカを戦争へ向かわせたのは真珠湾攻撃だ、と、これがこの本で初めて出てくる「日本」です。
別に否やはありません、ってか否定できないし。対日感情ってのはこの上にあるのか、を少し怖く思っただけです。もちろん対日感情は、トヨタソニーニンテンドーやアニメやコミック、村上春樹なんかの上にもあるのですけど。
さて納得いかないのはこっちかな。「広島の爆撃のあとでさえ、日本政府はアメリカの要求する降伏を拒否しました。3日後には2発目の爆弾が投下されました」。せめてかたやウラン型かたやプルトニウム型であることは書いてほしかった・・・日本の小学生だってそれを知ってるかどうかは怪しいか(苦笑)。
公民権運動とか、勉強になりました。キング牧師のあの演説、あの大衆はいったいなんだろうと前から思っていたのでした。ローザ・パークスが座っていたのは「黒人用」の最前列だったとか。こっちもなぜこの日その出来事が起こったか、今までわからなかったのです。
結びはアメリカ200周年。小学生がほんとにこれを学ぶのかと思うくらいぎっしりで、しかし短いアメリカ史。一読の価値ありです、たぶん英語でも。(^^ゞ
→ Amazon.co.jp