細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

日本の雇用と中高年

濱口桂一郎先生の新書4冊目。大内先生のと一緒に買ったんだけど、なんとなく後回しになってました。基本スタンスは(当たり前だけど)これまでの本と大きく変わるわけではないところですが、中高年に焦点を置いた歴史はやっぱり知らないことがいっぱい。昔の中高年は35歳からだった!とかね。
これまでの(ブログも含めて)言説にたぶんなくて(少なくとも私は気づいてなくて)ううむ、と考えさせられたのは、小池和男の知的熟練論に対する批判の部分。もちろんこの本だけで自分として小池和男を否定しようとまでは思わないんだけど、理論は実態を後から説明するものだという大前提で、すべてを説明しきれない理論の穴を示される。何もかもを説明するのは難しい、だけど、現実が絶対に先にあるから修正すべきは理論の方で。もちろんそれで説明できる部分もたくさんあるから、すべてを否定するということではなくて、さてそこで。まあもちろん、(仮に現実がある理論に基づこうという意思によっていたとしても)現実がすべて理論通りに行くわけじゃないけれども。目から鱗だったので、考えるきっかけを貰えたのはありがたいことでありました。

・・・・・・・ところで、この手の本にあとがきというか締めがないのって、すごく落ち着かないんですけど〜!