細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

子どもに本を買ってあげる前に読む本

赤木かん子さんの2008年本。赤木さんは最近学校図書館の改装を手掛けていらっしゃったのですね〜。知らなかった。私はズッコケシリーズが苦手なのを赤木さんに説得された(?)クチなので(それは96年くらいのことだったかな?)、赤木さんが近年の(08年までの、ですが)児童書事情を解説くださるのであればもう謹んで拝聴します〜というスタンスです。そして期待にたがわない!
ゲドが旧世代、十二国記が過渡期、ハリポタが新世代、わかる〜〜〜。←すべて女性作家とか、きっと意図的ですよね(笑)。リアル系と妄想系、おっと失礼空想系の違いも分かる!と思っていたら甘かった。ミステリがリアル系に近いのはまだわかるけど、そうか、ケータイ小説はリアルなのか!好きな子はそういうことなのか!!!これまで全く理解していなかった私も、でも「これってホントのこと?」って司書に聞く小学生女子はわかるわ〜。目から鱗、すばらしいです。
でもってハリポタ。ええ私は旧世代(〜過渡期)、ゲドファンのその反応まったくもってそのとおり。なんとハリーは(実質)7歳!そう言われればわかるわぁ。この説得力、ほんと20年前から感服です。

赤木さんの一貫したメッセージは、「現に読まれているものを絶対に否定しない」。確かにね、ハリーを攻撃するゲドファンの方が大人げないわけですよ。ゲドはゲドでいいものですが、ハリーと比べる必要はない。ハリーがゲドになる必要もない。いやゲドファンとしてはそのうちゲドも読んでよねとは思うけど、現にハリーを読んでいる子にハリーを攻撃してもゲドにプラスになるはずはないよね。上質な「古典」の棚は必要です。大人が推薦してもいい。でも強制は不適切だし不可能だ、本読みなら他人に本を薦めることの怖さを知らないはずはない。

この書名、かなりの含みがあると思います。これを読んだ後で「子どもに本を買ってあげる」なんて無邪気には言えない。もちろんこれを読んだ後でも「子どもに本を買ってあげる」ことは十分にあり得ますしそれが否定もされていませんが、どういう気持ちでどんな本を”買ってあげる”、それはもう180度違ってくるようなブックガイド(?)です。旧世代にお薦めです(新世代はこの本を必要としません(^_^;))。