細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

カムイ・ユーカラ アイヌ・ラッ・クル伝

山本多助。もともとは1978年刊、筆者は1904年だからええと明治37年生まれのアイヌでおられて1993年、この文庫の初版年に没されています。
さて、物語が倫理を語ることに私もしっくり落ち着きますが、案外にその並べ方が絶妙です。ミソサザイの神の語った話、勇壮かつほのぼのとした話を冒頭に。これは「知恵と勇気が報われる話」で「強情とひとりよがりが懲らされる話」の方も、そう、強情は悪意ではないのです。お話に救いがないのでもない。けれど強情は懲らされる、そこにあるものさしでそれははっきりと悪。救いのある話もあればきっぱりとそう落とすお話もまたあり、そちらはだいぶ読みなれたころに配置され。でも、ね、鍛冶の音、何か分からなければ尚更心惹かれますよね、きっと。ころころ可愛いマリリンコ姫の物語、楽しいです。続きはないの〜?
GW読書その2、あっという間に読み干してしまうふっとゆとりのひとときのための11篇。チキサニって春楡の女神の名前だったんだね(cf.薄紅天女)。
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カテゴリは・・・小説も物語も創作のつもりだったので、いやでもノルウェーの民話を物語に入れたか。詩歌じゃないよね、最初社会科学にしてたけど、やっぱり物語かあ。