細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

村田エフェンディ滞土録

梨木香歩。家守綺譚と対の本。家守綺譚のような不思議もあり、けれどもより現実に近く、そして現実におののかされる本。ネタバレ厳禁な類の本。家守が雨だったら、こちらは乾いた太陽。でも、どしゃっと降った雨道の描写もあるんですよ。
滞土録の「土」は土耳古、トルコです。一八九九年、文中ではそう書かれるのですが(それはもう絶対意図的に西暦でしか書いてないに決まってる)、明治32年ですね。単行本、カバー折り返しの1行「私は人間だ。およそ人間に関わることで私に無縁な事は一つもない」を読んでから、中に入ってくださいね。
うわ何を書いてもネタバレにつながりそう。それとは関係のないところでの感想をひとつ申し上げれば、馬に乗って歩ませているときと駆けさせたとき、地の文のスピードが、ほんとに違うの。すごい!
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