細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

家守綺譚

梨木香歩。ずっと読みたかったのをようやく図書館で見つけて(当地の図書館見直した!)嬉々として。
今まで読んできたのと、とても感じが違う。丁度、吾輩は猫である夢十夜が違うような感じに違うのです。予想してなかったけど、これはこれでとてもうれしい。はらはらどきどきとか、きゅうっと泣かされたりとかしないけど、雨の日に読んだことともあいまって、しっとり霧の中で落ちつく。
たくさんの草木が存在感を持っているのはいつものこと。でも今回それ以上に生きている彼らは、でも彼女がいつも書いているのと違わない。どこに立っているのかあやふやになるあやうい世界、はっきりこちらで生きていようとするときに不可欠に為すあちらの世界への礼を欠いた拒絶を、しかし丁寧に治す梨木さんらしい書き方が好きでたまりません。
→ Amazon.co.jp