池澤夏樹、震災後のエッセイ集。ちょうど沖に向かって泳ぐを読み終わったところだったので、そのスタンスが同じ部分にふううっと息をつく。そして、違うところにも。キリスト教の話がいつの間にかすごく土着の日本の考え方の再考に移ろう、確かに、もともと池澤さんが好きではなかっただろう情緒的な?現状を所与のものとする、ある視点からそれはひどく迎合的で、そして別の視点からはそれはとても前向きで、いずれにせよ自然は人間に無関心。
春を恨んだりはしないと、わざわざ書く(それは、恨みたくなるからで、そしてそうしたくないからだ)、その切実さを、忘れたくない。