細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

罪と罰

ドストエフスキイ池田健太郎訳。2段組の本なんて久しぶりに読みました。読了するまで読了できるか常に危ぶんでましたわ(笑)。や、面白かったのですよ、ほんとです。でも長かった〜(^^ゞ。
「殺してみたかった」を実行したくなる若い人に捧げます。それは普遍的なテーマだ。私も例外でなく、この間の西尾維新のxxxHolicにもあったみたいに。それはイマドキの話ではなく、この古典の時代からの話。そしてそれはこの古典の時代から、「若者」の話。
その結末をこれだけの分量を使って想像して描写してたくさんの人が共有して。ここまで執拗に試して書いて、それを知ったら試してみたいなんて気はなくなりそう。とはいえこの共有=読書の敷居は執拗なだけに低くないのが玉に瑕(^_^;)。
勧善懲悪といいますか、罪に対する単純な悔悟のお話では全然まったくありません。罪が何であるかさえ(外面上は明らかですが)最後にひっくり返されてわからない(←この読解が正しいかどうかも?)。けれど救いのない話ではない。心理サスペンスではあるかもしれない。ともあれ主人公の心の揺れ、圧迫と移ろいは、引き付けて余りあります。これに絡む他の人物も数多く順々に移ろい魅力的。伊達に古典ではありませぬ。(ちなみに外面上の罪は第1部、ラストは第6部です。これまた伊達に長いのではないのですが、長いのですよ(苦笑))
さてカラマーゾフの兄弟、こちらは大学時代に挫折した記憶が鮮明ですが、はて今なら読めるかな。池澤夏樹の「世界文学を読みほどく」を読むつもりで借りてきたのに、これに取り上げられていたのはカラマーゾフの方なのでした(^^ゞ。
→ Amazon.co.jp ところでこのように私は名実ともに正真正銘まごうかたなき「若い」頃にこれを読めはしなかったわけですが、良識ある大人がこれを若者に読んでおくよう言うことは、まったくもっともなことだと思いました。その「良識ある大人」は、「若い」ことを忘れ去った人の対極なのでしょう。がんばれわかいひと(^^)/^^^。ええ高校生や大学生の、もしかしたら中学生のあなた。
でもいくつになっても遅くないです(笑)。

↑言うまでもなくこれは無責任な(自分ではなく他人に多くを求める)言説です。でも、この本いいですよ(^^)