細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

ミシェル 城館の人 第三部 精神の祝祭

第2部を読み終わったのは6月か・・・。あまりに長いこと持ち歩いていたので(持ち歩く≠読む)かなりぼろぼろに。でもこれは売らないからいいや。読み返すかどうかはわからないけど(^^ゞ。
旅行記からはじまる第3部。ミシェル、ドイツとイタリアへ行く。帰ってきていろいろあって、生の肯定と寛容。確かに筆者の言うとおり、もはや懐疑主義じゃない。そういうことを読ませてくれるから、読んでいて楽しいのですよね。無味乾燥な記録ではない。
けれどかつん、と打たれたのは、<モンテーニュの後期の、この考え方を、筆者は戦時中に知って、>云々。当たり前といえば当たり前なんだけれど、戦前からモンテーニュを読んでた日本人がいて、その十代二十代の引っ掛かりをずっとずっと引っ張って、晩年、八十才を目前にこの現代の私に全く違和感のない、いえ十分に引き込まれる本を上梓する。生と死をめぐる「この考え方」、大切なのは生きること、死はそのときまでそのままにおいておけばいいというこの考え方、六十年筆者は出したり仕舞ったり眺めたり磨いたり置いておいたりなさったのでしょう。
→ Amazon.co.jp