細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

図書室の海

恩田陸。短編集。どれも楽しめたのですが、あとがきを見るとあれもこれも長編の番外編ですか。・・・それぞれちゃんと完結しているのですけれど、長編に絡んでいると聞けば長編も読まないとという圧迫に駆られたりも。でも、短編の方が好きかも知れないな。「六番目の小夜子」って題よりも、「図書室の海」って題の方が、好きだもの、絶対。(←読まずにそんなことを言ってる暇があったら六番目の小夜子を読めばいいのに)
時間が行きつ戻る感覚が、冒頭の「春よ、こい」はもちろんのこと幾つもの作品に感じる。語り手が変わったり記憶がめぐったりするその繰り返しの不安と落ち着き。表題作の秘めごとの感覚はとても心地よいですし、「オデュッセイア」、可愛い。
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