細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

ミシェル 城館の人 第二部 自然・理性・運命

行きと帰りの電車の中で読んだから、この一冊がうっかり私の中で2つに分かれてしまいました^^;。前半は孤独について、後半はなんと言ってもすさまじいカトリック?とプロテスタント?の争いについて。いえ、後半はそれではミシェルの話ではなくなってしまうのですが、筆者にも苦笑交じりにそれは指摘されているのですが(その上でミシェルの話ももちろんたくさん、というかミシェルの話をするために背景が描かれているのですが)、にしてもそのすさまじさというかいい加減さというかなんでもありさ加減に圧倒されてしまいました。
と、ミシェルについて言えば後半は「留保」、つまり懐疑主義についてですかね。おお、ミシェルらしい♪
→ Amazon.co.jp 彼は孤独を欲し、必要としている。
それは、十六世紀人としてはまことに例外中の例外であった。<p15>

大学時代の英語の教材(ビデオの中の一枚の絵)がまざまざと脳裏によみがえってきたのでありました。何もかもが台所にある。それは台所であり、居間であり、使用人部屋であり、ご領主の執務室であり、もう何もかも。その絵は床が土で、女が椅子に掛けてジャガイモを剥いており(あ、でもこの本によれば、ミシェルの時代はじゃがいもにはまだ少し早い)、アヒルか何かが左の片隅にいて、男の子が遊んでいて?男たちが右側で立ち話をしていてあとまだなんだかごちゃごちゃと。その絵の中に上の2行がすぽーんと入ってきて、いじらしいというか切実というか現代人としてはよくわかるというか、といって彼の孤独の加害性(笑)も彼がまた客好きであることも書いてあるのがまた良いのですが、とにかくこの2行が大好きなのでありました。