細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

慶州ナザレ園 忘れられた日本人妻たち

上坂冬子、中公文庫。借りてこられた相方様の勧めで読了。1984年の本ですが、まったく時代を感じずに読めました。
終戦前に朝鮮半島や日本本土で朝鮮人の男性と結婚し、終戦後韓国に残った(あるいは夫について渡った)日本人妻の人生を語る。たくさんの人生がそれぞれに激動で、生きることの厳しさとひとの強さ、したたかさを痛感する。嫌韓とか反日とかいっても、われわれの間にはこれほどの「分けられない」人生がある。辛い経験も受けた恩もすべては深くて、そしてこの施設を営む善意の上の矜持。
感謝以外にできることがあるだろうか。