細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

安部公房 大江健三郎集

現代日本の文学47、学習研究社。これまた前の図書館で、読書週間にいただいてきたもの。どちらも初めて読むわけじゃないけれど、でもまあ限りなく初めてに近いかな?まずは安部公房、このひと、赤い繭みたいなのばっかり書いてるわけじゃないんだね〜。
昭和45年初版で、けものたちは故郷をめざす、魔法のチョーク、デンドロカカリヤ、闖入者。うしろみっつは短編です(らんにゅうしゃ、だと思ってたら「ちんにゅうしゃ」と読むのだね(^^ゞ))。けもの〜には圧倒されました、何か、飲み込まれて怖い。魔法のチョークがなじみやすかった、窓って、外って、全てで怖い。
私高校生のとき、恩師より安部公房の手ほどき?を受けまして、いわく、”落ち着かない”のは作者の狙いどおりであるので、それを理由に嫌うのは当たらない。それを踏まえますとどれも読み応えがあってそうですね、好きと言っても差し支えないかもしれません。
さて大江健三郎は、芽むしり 仔撃ち、飼育、不意の唖、後退青年研究所、アトミック・エイジの守護神。長編はこっちの方が読みやすい。短編は向こうかな。でも不意の唖の張り詰めた空気はびりびりきます。長編の「弟」が、どちらも心の安らぎです^_^;。それぞれ第三者の解説兼随筆がついていますが、そこに出て来る大江のお兄様が、「ぼくは、健三郎の小説のなかでは、もう何度も死なされてしまっているんですよ」という、その言いぶり、対話を通じてにじみ出る兄の愛情がじんわり心に残ります(この随筆は松原新一)。

古すぎるせいかやっぱりアマゾンでは見つかりませんでした・・・(苦笑)ISBNも書いてないよ^_^;