細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

女性天皇

滝浪 貞子。京都女子大の古代史の教授でおいでですね。最近神社にいくと大体貼ってあるあのポスター(&パンフレット)、「女性天皇女系天皇の違いを知っていますか」そのくせ何の説明もしていないあのパンフレット!皇統図だけでどうしろと!・・・いやまあ、皇統図があれば「男系」ってことはわかりはしますが、賛同者増やしたいなら行き届いた説明をしようよ。
とまあいらいらむずむずしていたところでありましたが、この本はわたくしにとって大変行き届いた説明であり、すっきりしました。
もっとも、滝波先生がこの本で女系天皇に反対、と主張しておられるわけではありません。これは現在の議論に係る本でなく、あくまで古代期の(男系)女性天皇の位置づけ、役割等に関する論述です。ときどき事実かご意見かどっちかな?(=根拠どこかな?)って思うところがなかったでもないですが、各天皇人間性への思い入れも含めて、好感の持てる本でした。古代期の女性天皇が「中継ぎ」であったのは(それは通説でありこの本が述べているところでもある)、おそらく事実でありましょう。それを無用な反感なしに納得できたのは嬉しいことでした。
で、この本にもあるようにいまの問題はもちろん別の話ではありまして。現在のジェンダー論に基づいて古代を一方的に解釈することができないように、古代そうであったからいまもそうであるべきだとは、私は思ってはおりません。とはいえ妥協を愛するポリシーからは、古代に戻す・・・男系女性天皇までをまずは認めるところで当面手を打つのも、それはありかなとも思うのでした。
→ Amazon.co.jp 1.20追記
>男系女性天皇までをまずは認めるところで当面手を打つのも
・・・別に今は30歳まで即位できないとかそんな縛りはないので、「中継ぎ」の意味がないからこの妥協は無意味だと思い当たってしまった・・・やっぱり変化はドラスティックにならざるをえないのか。