細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

パレオマニア 大英博物館からの13の旅

池澤夏樹。のっけに男はフランス語ができないとか書いてあったから、だいぶ古い本なんだと思ってたら全然新しいじゃん!イラク戦争の直前にイラクに行った、それも含めたそんな頃の旅13か国+α。・・もう返しちゃったからフランス語のくだり今確認できないんだけど、読み間違いかな・・・?ともかくそう思って読んでいて、イラクの旅にたどり着いたときに驚かされたのでした(苦笑)。
大英博物館で気に入った何かを見て、その場所へ行く旅のエッセイ。ずっしり重量感にあふれた世界各地。韓国の石仏が個人的にいとおしいのは自分の旅行を思い出すから(笑)。読み物としてはアンコールワットの木と石の戦いを推します。ウルル(エアーズ・ロック)には登らない締めくくりが、その直前の家系譜(名前忘れました)を見たくないけど見たいという葛藤とあいまって(いずれもある種の禁忌、でもエアーズロックには手すりが付いている、それを書くのがまたよいのです)、旅がなんだか内面のものに戻ってくる、そりゃ気恥ずかしくて微妙な3人称にもなるだろう、と邪推してしまう。や、旅の「報告」は一人称でできるけど、内面はこの3人称が、読む側にとってもありがたいです。
→ Amazon.co.jp