細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

カルチェ・ラタン

佐藤賢一。最近女性の書くものばかり読んでいるなと思ったので前回重松清を借りたのだけど、ついに読まずに返してしまって(次もう一度借りてくるぞ)、この人だったら絶対読めると思って借りてくる。予想通り面白かったv
品がいいのは断然「王妃の離婚」の方ですが、遊び心満載、非常に愉快でした。序文から笑いっぱなし。お約束的意地悪で魅力的な俊才、お約束以上に少々情けないかもしれない愛すべき主人公。少々ポルノ的なのは、まあそれがテーマだし?教授との神学論争はさておいて、「人間の時代」というルネサンスの言葉としかしいかにもルネサンスであるカルヴァンも(イグナティウス・)ロヨラもキリストの復活を望むだろうという(確かにそうだろう)その空気。
女性を超有名な絵画に例えているところからしてプロトタイプとして以上に書くつもりがないのはきっと意図的なんだろう。脇役たるザビエルさんもロヨラカルヴァンも、たぶん次何読むにしてもこの人物造形でうっかり想定してしまうんだろうあたりのキャラクターの立て方は、やっぱりお約束に踊らされてるかとも思うんだけど、楽しいんだよな・・・。
あ、冒頭は(最後まで一応は?)探偵もの、で、青春ものというかキャラクターものというか、恋愛ものじゃあ、ないよねぇ?歴史ものはもちろん宗教ものでもないと、思う。(<無理に分類しなくていい)
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