細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

国家の品格

藤原正彦。200万部も売れてるならひとりくらい、と品格に欠けることを考えてみて、立ち読み。いえいえ、むしろ買いたくなかっただけです(じゃあ読まなきゃいい(^^ゞ)。別の本予定外に買ったから許して(^_^;)。
言いたいことはわかりました。4分の3くらい、了解もできます(予想よりもずっといい)。論理がすべてではない。倫理はある程度は押し付けるもの。理由なんてない。子どものころにそれは押し付けるもので、という話はシュタイナー教育にさえ通じるもので、私の実感からも了解できます。・・・そのうち子どもはその権威を疑ったり納得したり、そういうプロセスもあるんですけどね。まあ最初の一歩としては、人を殺してはいけないことに理由はない。
論理がすべてじゃない、論理には「前提」「出発点」がある、それが情緒だ、というのも分かります。「情緒」と呼ぶかどうかはともかくね。しかしそれを「日本」とくっつけるのは分からない。いえ日本はすばらしい。でも、日本だけがすばらしいなんて誰がいえるのか。
この本は、日本は、日本は、と書いている。アジアはほとんど出てこないけど(インドが出てきたね)、まあ、例えばアジアやアフリカの、どこどこはすばらしくないとは書いてない。その国のすばらしさはその国の人が書けばいいという割り切りなのかもしれないけれど、それともやっぱり日本はほかの国よりすばらしいといいたいのだろうか。どうだろう。(欧米は、褒めたり貶したりでこれがまたよくわからない)
・・・無理に気分を悪くすることないんだから、前者だとして読めばいいんだよな。
あと具体的な例証一つ一つは、何とでも言えるものばかりだと思うのでふーん(-_-)、って感じですが、論理じゃないと先に言い切られているのだからこれはこれでいいのかもしれません。
→ Amazon.co.jp ところで余談。(この本とはあまり関係ありません)
子どもが(大人でも)「なぜ殺してはいけないか」という問いを立てることは、いいことだと信じている。彼はほんとうに殺したくて聞いたわけじゃない。大人を試したかっただけで、大人は試されるべきだ。この本を読んで、その問いに「理由はないけどだめだ」と断言できる大人が増えるなら、それは悪くない。理由を答える大人も悪くない。ただうろたえたりその問いをとがめたりするのはいただけない。本人が問いを立てて突き詰めて考えるのもいいし、やっぱり答えはないんだと納得するのもいいし、大人にはっきり答えられて引き下がるのもいいし、とにかく問いが悪いなんてことはないと思う。