細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

世にも美しい数学入門

対談。小川洋子藤原正彦。ええ、国家の品格を手に取る気にまだなれなくて、これなら読めるかと準備体操。博士の愛した数学は、面白かったもの。そのあとがきに出てきた数学者、この本を見るまで忘れてましたが藤原先生でした。
さて、数学は美しい。美しいものほど価値があり、また、役に立たないが故に価値が高い。(そして何百年後かにこっそり役に立つ。しかしそれは重要じゃない。)美しい何かがあるはずだ、と数学者は鉛筆で実験を繰り返す。書いたり消したり。それはどれもこれもすごくよくわかる。中学校や高校でやってきた数学だってすでにそういうものだった。力技でも解ける問題も、美しく解けたら断然嬉しい。
数学者は数学の問題も、恋人も、ずうっとずうっと思い続ける。導入部のそのエピソード、秀逸でした。数直線、ってものを描いた(イメージできるようにした)ことがどんなにすごいことかとか、ガウス複素数)平面もそういう視覚化の手段だとか(これは高校のときよりはふんふんと思ったけどまだ飲み込めてはいない)たくさんの偉大な日本の数学者たちだとか、こと数学の話に限ってはまったくもって満足して読み終わったんです。
・・・でも数学が、(数学に限らないんだけど)民族性や地域性と結びついているって・・・ほんとかな。ううんそれもほんとだとは思うんだけど、何かどこか、それこそ私の中の情緒の世界で引っ掛かりを感じるのは何なんだろう。・・・だから次は、国家の品格、行ってみよう!(笑)

ところで、数学の授業には、こういう「語り」も必要だとつくづく思います。わかんなくても美しい世界とか、ある定理の証明に費やされるたくさんの人生とか。むかしからの日本の数学者のお話でも。
小学校のとき図書館で、江戸時代の数学を題材にしたお話(確か商家の娘さんが主人公で、算額(神社に奉納する、算法の問題と答えを書いた額・・絵馬みたいなもの)とか、関孝和とかでてきた)読んだことを思い出したけど、覚えてるタイトルで検索引っかからないのは絶版なのか記憶違いなのか(涙)。お勧めしたいのに〜。

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