細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

史記 本紀

ちくま文芸文庫。小竹文夫・小竹武夫訳。
解説によれば、驚くなかれ、これってほとんど1962年版なのですよ。しかし、ぜんっぜん違和感ない。私が知る限りでは(=さっとネットで探して入手できる範囲では)いまだに唯一の完訳。これまた解説で留意が促されている表の省略とその場所の変更はともかくとして。
しかしどうしてこの歳になるまで一度も読んでいなかったんだろう、と思わないでもないですが、まあそんなものですか。もちろん、わかっていたとおりにおもしろかったです。中身は全部知っていた、というのではなくて、何というか、中国古典ってこうだよね♪という再確認?特に私、漢成立(「項羽と劉邦」の物語ですな)のあたり疎かったので、ちゃんとエピソードが順番に、すなわちその位置づけがわかって読めて楽しかった。とりわけ函谷関とは何なのか、次は箱根八里もっとうまく歌えそう(笑)。
と、ところで最後の2節(孝景・孝武本紀)、あれ何ですか?祭祀の国に逆戻りですか?殷本紀も、夏本紀も、五帝本紀第一すら、そこまでではないのでは・・・(-_-;)。
も一つ印象的だったのは、暗惨たる呂后本紀の司馬遷コメント。「呂后は(略)天子のように制を称したが、政は後宮を出ず、天下は安泰であった。」侮りつつ持ち上がった、すごい評。
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