細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

もう牛を食べても安心か

福岡先生はあの福岡先生だろうかと、思って読み始めたら間違いなくそうだった。タイトルは出版社が付けたんだろうけど、でも中身とまあ合ってていい線だった。生物と無生物のあいだってタイトルにはもちろんかなわないけどさ。
あの本と違うところを書けば、それはやっぱり狂牛病のところで。というか臓器移植のところなのか。動的な平衡状態を組み替えていくためには、材料はバラバラにされる必要がある。他の生物だった食物の、その痕跡をとどめずバラバラにするプロセスが消化であって。バラバラにしないで取り込む移植のこわさが描かれる。目の前の患者さんをみるのか、自然界の大きな流れをみるのか、おりしも小児臓器移植が話題を集めるこのときに、結論を悩む一冊でした。