細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

空飛ぶ馬

北村薫<私>シリーズの最初の一冊。3作め4作めと違って連作短編です。読んで圧倒されたのは、いちばんやな話、赤頭巾。そう来たか、ってのはやな話でもいいものですよね。もちろんただのやな話なんてお書きになる方でないので、それ以外にもこれはいいのですが。そう来て表題作でのまとめ、出来過ぎでも嬉しい。謎はどれもこれも素敵です。そして<私>の落語語りがこれまた素敵、文学語りにも惚れ込みます。
既に遥かに年上の私が、この大学生の教養にあこがれる。恥ずかしながら逆立ちしても敵いません。