細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

アイヌの碑

萱野茂。昭和55年の初版、1990年…平成2年の文庫、去年の12版。その間著書は亡くなられ、ただ著者が亡くなられたという以上にこの事実はせつない。そこはかとないユーモアと生活感に満ちた淡々と温い語り。そのなか切なく胸に残るのは、父親世代の嘆声。アイヌのやり方で野辺の送りをしてもらえる、だから先に死んだ方が幸せだ。…。
もう誰もできないことの大きさ多さに、本を閉じて黙るしかない。