細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

雇用改革の時代 働き方はどう変わるか

八代尚宏。1999年版なので、労基法も派遣法も11年改正にけりがついたそんな時代。思えば遠くに来たもんだ…って、そんなことないか。労働法はあの頃からが今まで続く一つのエポックだと思われます。
規制改革会議はそれより後のことですが、おっしゃっていることはまあ変わらないんだなあって、当たり前のことですか。
非正規労働者の固定化は八代先生と厚生労働省との双方が全く望んでいないところでありますが、世の中それもやむを得ないと思っている人もいるだろうということはさておき、派遣、有期雇用の規制緩和、解雇法理の規制緩和がその処方箋かが真っ向からの対立状態。分からないからこそ合意プロセスを重視するのか、政策判断で断行するのか。あれ、何だかねじれてる?厚生労働省が前者でありまして、まあ規制改革会議は政策機関だってことなんだよね。合意プロセスの代表性の問題しかり。組合員の多数が大企業の正社員だってことはわかっちゃいるけど、じゃあ任意に選んだ一人の非正規労働者に代表性があるのかと。そこでそれでもやっちゃえという政策機関と組合が非正規労働者を組織するのを無理かもと思いつつひたすら待つ厚生労働省ってところかなあ?理想は同じところにあっても遠い。企業の本音、労働者の本音はどこだろう。私はまだ組合員でおりますが、組合なるものの魅力なんてのは果たしてどこを探せば見つかるのかしら。
そもそも理想を共にしない方もおられますから、これはまあそれなりに読みやすかった本でした。