細波水波

さやさや揺れる風の中 さわさわ揺れる水の音 たゆたいながら月に10冊年100冊

日本の不平等

大竹文雄。評判が高いので、帰省の電車のおとも用に、買ってみた。もっとも、その後にキリストの勝利が並んでいたのを見つけたので、帰省の友はそっちになって、戻ってくるときにはこれ読んでたんだけどやっぱり塩野七生よりは進まなくて、でもってつい文庫であるところの玄田先生のほうを先にしてしまったりして、でも読了v
タイトルは「日本の不平等」ですが、本質的には格差は開いていない、というのがこの本の冒頭。結論が最初にあるのは、いいよね。高齢化と所得格差に関係があるなんて、実のところ最初見たときは???でした。
2人の人が宝くじを引く前の所得格差はゼロで、引いた後では、格差は1億円と0円に拡大する。高齢の人は、人生をおおむね終えたので、その結果が見えている。つまり、宝くじを引いた後。それは昔もいまも同じことで、でも「宝くじを引いた後」の人の比率が増えれば、所得格差は広がったように見える。ふむ、なるほど。
とはいえ、これにだって処方箋は要るように思うのだけど、どうだろう。もうちょいゆっくり考えてみよう。

しかし、おもしろいです労働経済学。どのくらいの賃下げだったらむしろ解雇を選好する人が増えるとか、やっぱりひとは賃金額を=自分の評価と思っているから賃下げは難しいとか。誰が所得格差が拡大したと思っているかとか。過程はまったく見えない(書いてもあるけどむつかしい。そしてその裏にある成果の出なかった作業の量もすごそう)のだけど、すごいなあ、って。
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